カプサイシンによる口腔や咽頭部への
刺激が嚥下反射を改善し、
誤嚥を減らすことで、
誤嚥性肺炎の予防に繋がります。
日本人の死因の第6位 誤嚥性肺炎!
高齢者の死亡原因で、ガン、心疾患、脳血管疾患に次いで多いのが肺炎です。
そしてその肺炎の一番の原因となっているのが誤嚥(ごえん)です。

誤嚥とは? 誤嚥性肺炎とは?
誤嚥とは、誤って気管に食べ物や飲み物が入ってしまうこと。そして、誤嚥が原因による肺炎が、誤嚥性肺炎(ごえんせい はいえん)です。
食事がうまく飲み込めず、気管に食べ物や飲み物が入ってしまい、それが原因で肺炎になってしまう高齢者が非常に多いのです。

誤嚥の原因は 嚥下機能の低下です!
高齢者になると食事を飲み込む機能、嚥下(えんげ)機能が低下してしまい、嚥下事故を起こしやすくなります。嚥下事故が起きると、食べ物を喉に詰まらせて窒息したり、気管に食べ物や飲み物が入ってしまって肺炎を引き起こしたりします。

食べ物を飲み込みにくい それが摂食嚥下障害です
摂食嚥下障害とは、食べ物や飲み物をうまく飲み込めない、飲み込みにくい、といった状態のことです。
加齢による喉や舌などの筋力の低下、嚥下反射機能の低下、唾液分泌量の不足などの理由で起こるもので、主に高齢者に見られる障害です。
嚥下事故を予防する 嚥下食 嚥下訓練食とは?

嚥下食(えんげしょく)・嚥下訓練食とは、摂食嚥下障害を持つ方のための食事です。
嚥下事故を予防するために、柔らかさ、とろみ、形、食感などを調整して、嚥下機能が低下した方でもうまく飲み込みやすいように工夫されており、高齢者のいる家庭、介護施設、病院などで提供されています。
誤嚥事故を起こしやすい 食事の温度は?
嚥下機能を高めるための方法の一つとして、口の中の温度感覚刺激が有効です。
食事は熱いもの、冷たいもののほうが、嚥下反射を活性化するのです。
高齢者向けの食事は、高齢者の安全に配慮して、熱すぎるものは避けられがちです。
また、お腹を冷やす可能性もあるため、冷たすぎるものも憚られます。
そうなると、高齢者向けの食事や嚥下食は、どうしても中庸な温度のものになりがちです。
加えて、高齢者の食事ペースはゆっくりであるため、食事を口に入れる時には食べ物が室温や体温くらいになっていることが多いのです。
しかし、そのくらいの温度の食べ物が、実は一番飲み込みにくく、むせやすいのです。

食べ物を飲み込みにくい それが摂食嚥下障害です
嚥下障害のある高齢者に対する実験が行われました。嚥下反射の遅延の様子を計るため、様々な温度の蒸留水 1cc を口蓋垂の高さまで挿入したカテーテルから注入し、蒸留水の注入から嚥下運動が起こるまでの時間が計測されました。下のグラフは、注入した蒸留水の温度と嚥下反射が起こるまでの時間との関係を示しています。

体温に近い温度である30〜40℃において、もっとも嚥下反射が遅くなり、その温度から遠ざかるほど嚥下反射が早まりました。
この結果は、食べ物は熱いもの、冷たいもののほうが、嚥下機能を改善させることを示しています。
人の身体では、末梢感覚神経が温度刺激を電気信号に変換して、その情報を中枢へ伝達することによって外界の温度を受容しています。
その温度受容に関わるものとして6つの受容体が知られていますが、そのうちの4(TRPV1, TRPV2, TRPM8, TRPA1)が嚥下反射の活性化に関与しています。
そして、TRPV1 受容体に働いて神経伝達物質やホルモンなどと同様の機能を果たすのがカプサイシンなのです。カプサイシンによる口腔や咽頭部への刺激が嚥下反射を改善するのです。
カプサイシンの摂取で 嚥下反射が改善!
カプサイシンの摂取による嚥下機能の改善効果を検証するための実験が行われました。
施設に入所中の高齢者にカプサイシン含有トローチを毎食前に1ヶ月投与したところ、プラセボ群に比べ、有意に嚥下反射が改善しました。
カプサイシンにより口腔内および咽頭部のTRPV1への慢性刺激が、
嚥下反射を改善することが確認されたのです。

